一般社団法人 軽金属学会

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エッセイ

きっかけ

平成25年6月21日掲載

猿渡 直洋

山梨大学大学院
医学工学総合教育部
情報機能システム工学専攻
中山研究室
博士後期課程3年

 

 第124回春期講演大会において優秀ポスター発表賞を頂き大変光栄に思います。この受賞は、多くの方々に支えられながら精力的に研究活動を継続できた結果であり、関係の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。大学に入学した当初を振り返れば、まさか自分が博士後期課程に進学し、研究者を目指すことになるとは露程も考えていませんでした。今回は私が研究者を目指すに至った「きっかけ」をご紹介したいと思います。

 その「きっかけ」とは山梨大学学生フォーミュラ部での活動です。山梨大学学生フォーミュラ部とは、(公社)自動車技術会が主催する全日本学生フォーミュラ大会に参戦することを目的としたクラブ活動であり、主な活動内容はフォーミュラカーの設計・製作です。私が学部2年次のときに修士課程1年次だった機械科の先輩が有志を募りクラブを創設しました。私はその有志の一人としてクラブの創設から参加しました。クラブ発足当初は、当然、フォーミュラカーの設計・製作のノウハウがある訳もなく、ましてや活動場所や活動資金もない状態で何もかもがゼロからのスタートでした。私は車両の足回りの設計を担当しました。設計や製図に関しては講義で学んだものの、実際に製品を作ることを意識した設計というのは始めてで、講義で学んだ知識だけでは不十分であることを痛感しました。そのため、「わからない事を自分の目と耳と脚で調べる」という作業をひたすら行いました。この作業は私にとってとても新鮮で、大学の講義における受け身の勉強」とは全く異なり、自ら進んで知識を吸収する「勉強」でした。この「勉強」を通じて、わからないことをわかるようにしたいという知的探究心やわからなかった事がわかるようになったときの達成感が芽生えました。この体験が私が研究者を目指す「きっかけ」となりました。また、設計を通じて、「製品の根源にあるものは材料である」と強く感じました。これも私が材料の研究室を選んだ「きっかけ」です。

 現在の私は研究者としてはまだまだ未熟ですが、軽金属学会でご活躍されている大学や企業の研究者の先輩方に一歩でも近づけるように研究活動に精進したいと思います。最後になりましたが、日頃から多大なるご指導・ご鞭撻をいただいている中山栄浩教授、研究室のメンバー、研究活動を支えてくれている家族に厚く御礼申し上げます。

 
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