一般社団法人 軽金属学会

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エッセイ

私にとっての研究

平成24年3月20日掲載

松浦 圭祐

富山大学工学部材料機能工学科4年

 

 この度は、優秀ポスター発表賞という素晴らしい賞をいただき大変うれしく思います。そして、私の発表を聞いて下さった皆様から頂いたアドバイスや励ましのお言葉は大変励みとなり、今後も精進していきたいと強く感じました。

 私にとって今回の第121回秋期軽金属学会は初めて参加した学会でした。本番前日から緊張であまり寝つけず、ポスター発表の原稿を読んでおり、会場へ向かう富山からの夜行バスでの時間がとても長く感じました。早朝、会場に到着して、午前中は自分の興味のある発表や、先輩の発表を聞きながらもその緊張はほぐれず、刻一刻と迫る自分の発表の時間に私の鼓動は高まる一方でした。

 ポスター発表が始まっても私は冷静な状態ではなく、必死に自分の研究内容を紹介し、恥ずかしながら相手の反応をうかがうこともできずにいました。そんな時、ある企業の方が発表を聞き終わった後に、「少し眺めていただけだったけど、一生懸命説明してありがとう。これからもがんばってね。」という言葉と一緒に名刺を渡してくださいました。私は人生で初めてもらった名刺に、少し戸惑いながらも大変うれしく思いました。そして、そこで初めて冷静さを取り戻すことができました。それ以降は少し余裕をもって発表することができ、アドバイスや的確な指摘をしっかりと聞くことができました。ポスター発表では、多くの方々に発表を聞いていただき、そして多くのアドバイスをいただきました。その全ての方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます。貴重な時間、体験、お話を本当にありがとうございました。

 今思い返せば、私がはじめて金属に興味を持ったのは高校生の時でした。私は工業高校に通っており、その頃は今のように金属の研究を行うことを全く想像しておりませんでした。ところが実習の一環として鋳造について学ぶ機会があり、その時の先生が「金属と金属を溶かし合わせる。すると新しい性質を持った金属になる。まぁ現代の錬金術やな。君たちでも適当に混ぜ合わせれば新合金が出来る!!かもな。」と笑いながら話していました。その時、もし自分で新しい金属を開発できたら・・・とても面白そうだと思いました。私は、この「面白い」事がとても重要だと思います。私の趣味はウィンタースポーツで、かれこれ12年続いています。何故かというと、やはり面白いからです。そして、面白いことには一心不乱に打ちこむことができ、向上心も高まります。これは、今行っている実験にも言えることだと思います。私は今Al-Mg-Ge合金に対する元素添加の影響を調べています。始めて行った実験は時効硬化挙動についてでした。いくつかの合金の硬さ測定を行っていくと、添加元素によってまったく違う挙動を示し、その変化がたまらなく面白く感じました。その後、引張試験、組織観察と実験を進めていくとそれぞれの合金の特徴、つまり新しい発見が次々に出てきて面白い。私にとっての研究のモチベーションは、まだ知らないことを発見できる「面白い」ことです。今後もこのように楽しみながら日々実験を行って行きたいと思います。大半が私事で大変恐縮でありますが御容赦ください。また、アルバイト厳禁の松田研で、学会参加費+講演料+夜行バス代+宿泊費を支出するだけでアップアップでしたので、懇親会に参加できませんでしたこともお許しください。

 最後に日々多大なるご指導ご鞭撻を賜っております松田健二先生、野瀬正照先生、川畑常眞 先生、富山県立大学・上谷保裕先生、松田研究室の皆さま、そして理解ある両親に心より感謝致します。

 
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