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エッセイ

仕事の魅力(大学教員)

平成29年11月24日掲載

廣澤 渉一

廣澤 渉一

横浜国立大学大学院工学研究院 教授

 

*本エッセイは、中学・高校生向け職業紹介記事「仕事の魅力」より抜粋(一部追記)したもので、学生会員である大学学部生、大学院生の職業選択の参考になればと思い、転載しました。

(1)職業名
 大学教員(教授、准教授、講師、助教)
(2)仕事の内容

 大学教員の仕事は、大きく分けて「講義」、「研究」、「大学運営・社会貢献」の3つがあり、国公私立や所属学部(大学院、研究所)、役職によって、その比率は変化します。「講義」を担当するのは教授、准教授、講師であり、自分の研究分野に近い教養科目や専門科目を、年間数科目(人にも寄りますが、2~5科目が多いようです)担当します。1回90分の講義を15回実施した上で期末試験を行うスタイルが多く、毎回事前に講義の内容・進め方を入念に準備し、当日も学生の反応を見ながら「きちんと理解・関心をもってもらえているかどうか」常に気を配りながら講義を進める必要があります。

 「研究」は大学教員の本務とも言え、研究室やゼミの学生を指導しながら、常にこれまでの知見・常識を超える新しい学理を社会に発信し続ける必要があります。理系の教員であれば企業と共同研究することも多く、研究の遂行に必要な資金を得ながら、学術的な観点からの成果を報告しなくてはなりません。昇進も学術論文の質ならびに量によって決まることが多いため、若手教員はまずは研究で成果を挙げることが求められます。

 「大学運営・社会貢献」は主に教授、准教授が担う仕事であり、学生の教育や入試を確実に遂行しつつ、社会から求められる大学の有り方を常に考える必要があります。また、シンポジウムやテレビ、新聞紙上などで、特定分野の現状分析、動向予測、問題点の抽出や解決策の提示を求められることもあり、日頃から日本国内のみならず、グローバルな観点で教育・研究活動を行っていくことが重要となります。中学・高校生や市民向けの講座、オープンキャンパスなどを通して、「大学に入学してきた学生を、いかに社会で通用する人材として輩出するか」をわかりやすく伝えることも、教員の役目の一つとなっています。

(3)仕事に就くために必要な資格
 いわゆる国家試験などの資格は必要ありませんが、現在では理系のみならず文系の教員も、博士の学位を取得していることが求められるようです。そのため、大学卒業後に大学院修士課程、博士課程に進学し、博士論文をまとめて審査に合格、博士の学位を授与される必要があり、その後もさらにポスドクや任期付き研究員として、研究業績を積み上げていかなくてはなりません。ただし、企業に就職後、もしくは芸術・体育の分野で卓越した成果を挙げた方が大学に教員として採用される場合もあり、いずれのキャリアパスであっても、「ナンバーワン」かつ「オンリーワン」であることが重要となってきます。
(4)仕事上での喜びや充実感
 この質問については、中学・高校の教諭と同様「学生の成長を感じた時」が回答になると思います。学部4年生で自分の研究室に配属となった学生が、指導の結果、1年後(学部卒業)または3年後(修士課程修了)に「将来存分に活躍するポテンシャルを身に付けて卒業していく」姿を見ると、本当に感慨深いものがあります。卒業後に研究室に遊びに来てくれた時なども、「すっかり偉くなったようで、これからも教員ならびに現役の研究室学生を是非懇意に」とお願いすることもあり、研究室で培われた先輩後輩のつながりは一生ものであると感じています。
(5)仕事上での辛さや苦しさ
 「仕事量の多さ」を挙げたいところですが、実はこの「仕事」の多くは教員自らが作り出したもので、必ずしも大学や上司に与えられたものではありません。大学教員はいわゆる「一国一城の主」的な面があり、その点がこの職業の魅力の一つになっているかと思います。例えば、前述の「講義」や「大学運営」以外の時間の過ごし方は、基本的に教員個人の裁量で決めることができ、共同研究の実施や国内外の学会への参加、論文や解説記事の執筆など、多くを自分の考えで進めることができます。時折「成果報告会が近づいているにも関わらず、(学生の)研究の進みが芳しくなく、さてどうしようか」と気を揉むこともありますが、仕事を主体的に進められるというのは何にも代えがたいものと常々感じています。
(6)どのような学校生活を送るべきか
 まずは、学校で習う各科目をしっかり理解し、自分のものになるよう繰り返し学習を進めて下さい。その上で、ただ「先生の話をおとなしく聞いているだけ」ではなく、「自分が代わりに教壇に立つとしたら、どのような話し方をするか」を想像しながら、毎日の授業に参加してみて下さい(例えば、寝ている生徒をどのように注意しますか?宿題のレポートを2~3行で済ませてきた生徒にどのような指導をしますか?)。自分の得意分野を磨くためにも、真摯に日々の積み重ねをしていくことが肝要だと思います。
 
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